
浅間山の麓、豊かな自然に囲まれた「あさま空山望」。
開業5周年を迎えるにあたり、この場所とさまざまなかたちで関わってくださった方々に、あさま空山望で感じたこと、そしてそれぞれが大切にしている時間についてお話を伺います。
今回お話を伺ったのは、あさま空山望のアーティスト・イン・レジデンス プログラムに参加した画家・興梠 優護(こうろぎ ゆうご)さん。
約1か月にわたり浅間山の麓に滞在し、日々移り変わる山の表情や自然の風景と向き合いながら作品を制作しました。
普段とは異なる環境で過ごす時間が創作にもたらしたもの、そして浅間山から得たインスピレーションについて伺いました。

興梠 優護|Yugo Kohrogi
画家 1982年 熊本生まれ
東京藝術大学大学院 美術研究科 修了
光の揺らぎや色彩の移ろい、そして“見る”という行為そのものに向き合い、日常や自然の中に潜む微細な美を描き出す作品を中心に制作。国内で多数の個展・グループ展を行っており、最新の個展として2025年に清力美術館(福岡)で「移ろいゆくものへの憧憬」、京都蔦屋ギャラリーで「Fluctus」を開催。また、2025年には福岡アートアワード優秀賞を受賞するなど、精力的に活動を展開している。
目次

あさま空山望での約1カ月間を、どのように過ごされましたか。
生活の雑多なことからなるべく身を置いて、自分自身を内省的に見つめる機会にしたいと思い、毎日を過ごしました。また、周辺の地域の文化や風俗・土地性など、浅間山を起点としてリサーチに取り組み、作品へ還元することを試みました。

滞在中に印象に残った景色や瞬間があれば教えてください。
今回、浅間山の日の入り・日没を観察するという工程を、ルーティンとして毎日行いました。
最初は、雨が降ると色彩の変化が出ず、ハズレのように感じていたのですが、雨が降ることで大気が移行し、雲がダイナミックに移動しながら形を変えて行く様など、とても美しく感じました。
また、前日が雨の日の朝方には、施設から見える浅間山の麓に雲海がかかる様子も見ることができ、循環する自然の姿に圧倒されました。

今回展示される作品について、テーマや見どころを教えてください。
作品名 「Λ 01」
「Λ」は「ラムダ」で変換すると出てくると思います。山を想起させる記号ということと、物理学では波長を意味することから、色彩のグラデーション(光の波長)を扱っている作品のタイトルとして選びました。
今後このシリーズが増えて行くと「Λ 02」、「Λ 03」となっていきます。
あさま空山望の丘の上にある「天空の道」から見える、朝日や夕暮れをモチーフとして描きました。
毎日眺めていても同じ色彩や雲の表情はなく、常に移り変わり調子が変わっていく様に、自分自身の色彩感覚が広がったように感じます。
約1万〜2万年前、浅間山周辺は巨大な湖だったようですが、常に緩やかに変化していくものが大地であり、この世界なのだと思います。
太古の昔に誰かが感じた夕暮れの美しさと、今回の滞在を通して私が感じた感動を、この作品を通してまた違う誰かと共有することができると嬉しいです。
刻々と表情を変える浅間山の風景。その移ろいを日々見つめるなかで生まれた作品には、興梠さんならではの視点で捉えた、この土地の自然が映し出されています。
また、滞在中には地域の方々との交流の機会として、油絵のワークショップも開催していただきました。

あさま空山望では、自然とアートが交わる新たな創作の機会を育むため、アーティスト・イン・レジデンス プログラムを継続してまいります。
現在、2026年11月3日(火)まで、冬季開催となる第2回プログラムの参加アーティストを募集しています。雪景色に包まれる北軽井沢で約1か月間滞在し、作品制作に取り組んでいただきます。滞在中に制作した作品は、施設内での個展を通じて発表いただく予定です。

5th Anniversary Story
あさま空山望の5周年を記念して、この場所に関わってくださった方々の言葉を月に一度ご紹介していきます。
次回の5th Anniversary Storyも、どうぞお楽しみに。